コミュニケーションの機会均等を目指して、全社リモート化を実現
代表取締役社長 倉貫義人さん
※ この記事は、日本全国・地域の旬な情報をお届けする雑誌「TURNS」から転載しています。
月々定額制で全国各地に住める、住み放題の多拠点生活プラットフォーム「ADDress」。リモートワークという新しい働き方で注目を集めるこのサービスが手掛ける法人プランを利用する、㈱ソニックガーデンの倉貫代表にお話をうかがった。
テレワーク、リモートワーク、ワーケーション……。2020年、多くのビジネスマンたちは「働き方の変容」という課題に突然直面した。だが倉貫義人さんは㈱ソニックガーデンを設立した2011年以来約10年、時代を先取りした働き方への取り組みを続けている。約50人の同社社員は全国18の都道府県に住み、全員がリモートワーク。自社で開発した仮想オフィスシステムを活用し、入社式もリモートで行うなど物理的に社員同士が対面することはほとんどない状態を実現してきた。
「もともと最初に採用した社員が兵庫県在住で、『在宅勤務したい』という要望を持っていたことから、私たちのリモートワークはスタートしました。2015年には、東京のオフィスに出勤する社員と在宅勤務の社員の割合は半々になっていました」
順調に進んでいたオフィスワークとリモートワークの両立だが、とある問題に突き当たった。社員同士のコミュニケーションだ。
「オフィスで働いていると、ちょっとした仕事の話を口頭でする機会がありますよね。リアルで顔を合わせている社員同士だけなら業務をスムーズにするコミュニケーションですが、チーム内に在宅勤務のメンバーがいるとそのコミュニケーションの輪から漏れてしまい、コミュニケーションの断絶が生まれてしまいます。それをどう克服するかを考えた結果、全社員オフィスへの出社はしないという選択肢になりました」
社員同士のコミュニケーションにムラが出るという事態を避けるために、全員在宅勤務という思い切った手段を取った倉貫さん。スムーズに移行できたのは、段階的に「オフィスに固定電話を置かない」「紙の書類への押印を廃止」など、業務のデジタル化(DX・デジタルトランスインフォメーション)を進めてきたからだという。
「経理や総務などのバックオフィス部門はリモートワークが難しいと思われがちですが、業務を紙ベースからデジタルベースに移行すれば十分可能です」
理想の働き方を実現するためにADDressを活用
ソニックガーデンは、10月からADDress法人プランの利用をスタートした。倉貫さん自身も、ADDressを何度か利用している。
「出張に絡める形や、いわゆるワーケーションとして、清里A邸(山梨県北杜市)、みなかみ邸(群馬県みなかみ町)などを利用しました。清里は昔からのリゾート地にある別荘風、みなかみはJR東日本とコラボしたホテルと、それぞれ個性的な滞在経験を楽しめましたね」
倉貫さんがADDressにまず求めたのは、社員の福利厚生としての価値。となると「ワーケーション」というキーワードに思い当たるが、「そう簡単にはいかない」というのが倉貫さんの見方だ。
「いきなりリゾート地にPCを持ち込んだからといって、言葉通りに仕事とバケーションを同時にやろう、というのは難しいでしょう。集中して仕事をできれば、自宅でもオフィスでも、自然のなかでも関係ないのでは」
そこで少し考え方を変えてみたら、というのが倉貫さんの提案だ。
「『旅行先で仕事ができる』と考えてみればどうでしょう。ADDressを利用して月曜から金曜までしっかり働いて、さあ週末だ!となったときに、ADDressの立地ならバケーション先までゼロ秒で行ける。そういう働き方の選択肢を会社側が用意することが、社員が理想の働き方を実現する手助けになると考えています」
次は四国に出張するので高知A邸を使う、と話してくれた倉貫さん。ADDressの拠点は毎月のように増えるので、社員ともども利用するのが楽しみだということだ。
KIYOSATO 清里邸
四方八方を山々に囲まれた自然と隣合わせの小屋を改造した清里邸。 時がゆっくり流れる環境で、仕事もリラックスしながら集中できる。



MINAKAMI みなかみ邸
上野駅から1時間の上毛高原周辺に広がる、みなかみ温泉郷の中にある 「みなかみ邸」。温泉も楽しめる環境で、ファミリーユースにも。



KOCHI 高知A邸
高知市内の中心にある立 派な老舗ホテルが ADress の家に。高知の食と歴史を 堪能できる。



TURNS12月号(vol.44)より転載
文:深水央